オードリーのアート日記:日日是好日 -がたんごとんちいさな旅- 志賀龍太個展

 

「日日是好日」。ウィキペディアによると、禅語の言葉は、「毎日毎日が素晴らしい」という意味を持ち、そこから発展した、今この瞬間を大切にするという解釈もあります。私も昔から好きな言葉です。
この言葉を展覧会名にした、志賀龍太さんの個展「日日是好日 -がたんごとんちいさな旅」が、現在、美の起原にて開催されています。
子供のような愛らしい人物を描く志賀さんの作品は、初めて目にする人にも素直に「いいな」と感じられる、温かい優しさに満ちています。個展ステートメントの言葉からも、まさにその真摯な姿勢がうかがえます。

はじめまして。
志賀龍太、絵描きです。
日常のふとした瞬間を切り取り、作品制作をしています。
空の青色、影が作る黒色、オムライスの黄色、大切な人とのひととき。
僕が手を伸ばしたら触れることのできる小さな世界の愛おしさや儚さを絵にしています。

作品に表現されているのは、誰もが共感できるような、何気ない日常の光景。その身近さが見ていて引きつけられます。そして驚かされるのは、その場面が日常風景でありながら、どこか哲学的な深みに堪えていることです。

例えば、人が布団をしまっている場面を描いた「あふれてくる」。子供でなくとも、背が小さい人が共感できるようなシーンですが、この青い塊は単なる布団でなく、感情やコントロールできない何かを象徴しているのではないかと、想像力を掻き立てます。
また、説明的な要素が削ぎ落とされた作品は、人物のいる抽象画のようにも見えます。ロスコの絵画のような色面構成に、人が押し入れを開ける日常風景。パラドックスのようで、見ていて飽きません


特に印象的なのは、人物の目の表現です。顔にギュッとつまったつぶらな目と口。なかでも目元は繊細に描かれていて、思わず近くまで寄ってしまいます。作品中の「人のいる空間の余白」は、見る人に思考のスペースとなり、多様な解釈を可能にしてくれます

日々の「好日」から生まれた作品は、まるで詩的な日記のようです。共感性の高い日常を深く描き出す、志賀龍太さんの世界とぜひ会場で対峙してください。

日日是好日 -がたんごとんちいさな旅-
志賀龍太個展

2025年11月12日(水)〜11月19日(水) 日曜休廊 
12:00〜18:30(最終日16:00)                           
美の起原
WEB展示

タイトルとURLをコピーしました