美の起原で3回目となる「旅路」展にお伺いしました。
東京藝術大学で日本画を共に学んだ4人の作家によるグループ展で、ひとくちに日本画と言っても
4人それぞれ異なった技法や表現で制作をしています。
まずはこの展覧会の発起人となった伊藤愛華さん。ちょうどこの日は在廊されていて、お話もお聞きできました。
イスラム圏に生きる女性の姿を主に描かれていますが、今回はイスラム模様や卓上の風景を切り取った静物画も
出品しています。こうした卓上の様子が描かれることで、そこに暮らす彼らの人々の生活をも想像させます。
美しいトルコブルーや砂漠を想起させる黄土が目を引きますが、それが日本画材料で表現されているのが興味深いです。
佐藤佑さんの作品は、街の風景を描いた3点が並んで展示されています。
赤、黄、青と、まるで信号機のようなの鮮やかさな色彩が印象的。でもよく見ると、そこに街並みの一部である
ビル群の窓ガラスが浮かび上がってきます。何層も絵の具を重ねて削り出された窓の模様は景色の中で抽象化され、
美しい画面を作り上げています。
菊地貴子さんの作品は、日本画と七宝が組み合わせられています。
食べ物などのモチーフを七宝で表現し、その背景を日本画で丁寧に描いていて、それぞれの質感が響き合います。
マンゴスチン、りんごうさぎといったモチーフが愛らしく、それらに対する菊地さんの眼差しが伝わってきます。
川上椰乃子さんの作品は、どこにでもある日常風景を切り取られています。
繊細かつ卓越した技量で描かれた縦構図の大胆な作品は、まるで近代の巨匠の作品かと見紛うほど。
「旅路」の第一回で見た時から印象に残っていますが、今回は余白や筆さばきに大胆な表現も見られました。
春をテーマにしたコーナーでは、4人の同じサイズの作品が展示されています。それぞれの作品に合わせた設えも個性豊か。
4人の表現を通じて、日本画の奥深さを堪能しました! 18日までの開催となるのでまだの方はぜひ!
旅路
2025年2月11日(火)~18日(火) 日曜休廊
12:00~18:30(最終日16:00迄)
美の起原
WEB展示