2023 美の起原展 最終審査結果発表

美の起原展2023は応募人数203名、応募総数271点の中から30点の作品が入選しました。

応募方法の変更により昨年よりも点数の減少はあるものの、19~86歳と広い世代の表現と技術力に優れた作品をご応募があったことは、11回目を迎えて皆様に認知されたおかげだと思います。

受賞作、入選作はそうした作品の中より今後の可能性を感じさせる作品を選びました。

大賞


U-ku determined

審査員講評

美の起原展において2年連続奨励賞を受賞されていますが、今回は特徴である水彩絵具に金継ぎのようなひびを取り入れた新たな手法に挑戦されていて、審査員一同が注目する作品として大賞となりました。画面の主となる青色は縁取られた金箔に劣らず主張があり、従来の水彩のイメージを覆す深みを感じさせます。

準大賞


NISHINO HARUKA てんとう虫ダルマ-beginning and the end-

審査員講評

生と死を司り、作家自身を投影した「てんとう虫ダルマ」はそのビジュアルのインパクトに加え、細部まで描きこまれており、表現することへの執念を感じさせます。細密なダルマの描写とテキスタイルによる物質的な存在感が鑑賞者を魅了します。

特別賞


こだんみほ 京極湯

審査員講評

10号という比較的小さなサイズながらも密度のある完成度の高い作品でした。レジンをコーディングしてタイルのリアルさを追求していますが、その表現の背景にあるのはコンセプトに書かれた取材によるものでしょう。是非個展で作家の世界を見てみたいという審査員の意見から特別賞の受賞となりました。

奨励賞


不二【fu-ji】 エントロピーの行方

審査員講評

石川県の輪島で本格的な漆を学び、家業として漆を使った仏具や太鼓などの伝統工芸品を作る作家が、工芸品という決め事の枠を飛び出して、独自の絵画表現に挑むことは自身にとっての新たな挑戦です。
あえて定形のジグソーパズルに漆を塗り重ね、螺鈿を施し研ぎだして現れる不定形な色と形には渾沌とした世界が表出します。作者はこの制作の過程から生まれる不可逆性や不規則性からタイトルにエントロピーの行方と付けたのでしょう。
作品は見る角度、光の当たり方により表情を変へ様々なイマジネーションを引き出させてくれます。絵の具を用いて作為的に描く表現とは異なる美しさです。


甘甜 曲水流觴

審査員講評

中国に生まれ、現在は日本に留学し、東京藝術大学にて日本画の古典技法を学んでいるという甘甜さん。
中国の古典絵画をベースにしつつ、日本の古典絵画の要素も取り入れ、彼女ならではのオリジナルな世界観を作り上げています。
作品から何よりも感じたのは、作品の隅々までにきめ細やかな美意識が行き届いていること。画面中央の女性につい目が奪われがちですが、画面全体に配された文様や建物の仕様など、どれをとっても丁寧な仕事と技が光っていました。また、その美意識は表装にもいかんなく発揮されています。


カトマサ 憩う

審査員講評

日本でもっとも描かれているであろうモチーフ、富士山。
その手前に、だらしない姿で寝そべる女子高生が配されている。
ありそうでなかった組み合わせに、思わず頬が緩んでしまいました。
しかし、ただのユーモア溢れる作品というわけではなく。女子高生のポージングや木目、雲の質感、富士山の色遣いなど、随所に作者のこだわりが感じられます。シンプルに見えて、奥の深い作品。正確に言えば、奥の深さを感じさせないよう、あえてシンプルに見せている作品というべきか。
他の作品も観てみたい。今回の出展作家の中でもっともそう感じた作家です。


HARUNA SHIKATA Overwrite/07

審査員講評

木製パネルに銀箔、岩絵具、アクリル絵具、蓄光塗料、金属製塗料と様々な用材が用いられ、それぞれのマテリアルの持つ表情が交差して一見無秩序で複雑な画面を構成しています。この作品を見た時、現代の都市空間を表しているようにも見えました。
制作のコンセプトには脳内に蓄積されている情報と新たな情報との上書きをテーマにしていると書いてあります。古い建物が壊され新たなものが作り出される、そこに住む人の交代も都市という情報の上書きです。人の脳内を見ることはできませんが、これを都市空間に置き換えるなら都市の変貌は人間の脳内の情報の交換そのもののようにも思えてきます。

審査員賞

ゲスト審査員総評
昨年の美の起原展に続く受賞作家展やその後の皆さんの活動を見て、作品を審査することの更なる責任と重さを感じています。
昨年に比べ応募数が少し減ったという報告を聞きましたが、内容は更に充実した作品が集まっているように感じました。どの作品も作家さんの個性と情熱に溢れ、多種多様な素材を駆使した表現が見るものを圧倒します。
複数回にわたり出品されている作家さんは更に充実した作品へと進化し、初めて出品された作家さんの新しい素材や表現に挑んだ作品も目を引きました。すべての作品に甲乙は付け難いので、今回は《挑戦》も一つの基準として選んでみました。
大杉賞

神戸勝史 森のはじまり

審査員講評

澄み切った星空の下で神獣や動物たちがひと時の安らぎを求めるように朽ちた巨木に集まっています。根元には古代寺院の遺跡があり、巨木は古代から人間文明の悠久の歴史を見守り続けていたのでしょう。その巨木もいつかは朽ち果てるのですが、そこからは更なる生命が誕生しています。
生き物にとって植物は安らぎの象徴であり、すべての生命を生み出す根源でもあります。ファンタジックな神話世界を思わせる作品からは生命の循環という壮大なドラマを背景に人間の織り成す様々な歴史の物語を思い起こさせてくれます。

とに~賞

犬飼将隆 咲き香る

審査員講評

犬飼さんの作品の魅力であり最大の特徴ともいえるのが、人物を引き立たせるその装飾模様。離れてみる分にはふんわりした印象なのに、近づいてみると細かな線がびっしりと繊細に描き込まれていることに気づかされます。その個性的な装飾で画面を埋め尽くすのではなく、絶妙な余白を設けることで、主役はあくまで人物に。装飾模様が目立ちすぎない奇跡的なバランスを生んでいます。
ちなみに、犬飼さんの作品の原点は、小学生の頃に夢中に描いていたという細かな迷路とのこと。それが辿り辿って今の画風に繋がっているのだそう。これからも迷うことなく美術の路を進んでもらいたいと思っています。

賞金1万円・美の起原での受賞者二人展開催

D2グループ賞


すぎうらひろあき ニャンブラント作「にゃ警」
D2グループ従業員からの人気投票1位
QUOカード1万円分をプレゼント

クサカベ賞

二名


すぎうらひろあき ニャンブラント作「にゃ警」

落直子 散歩は龍と一緒に
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応募数

271作品・203名の応募・入選30作品(30名)

2023年 美の起原展 一次審査入選作品リスト はこちら

2023美の起原展 入選作品展

下記の日程で入選作品を展示します。

前期)2023年11月28日(火)〜12月9日(土) 12/2(土)及び日曜休廊
後期)2023年12月12日(火)〜12月22日(金)  日曜休廊
時間:12:00~18:00

2023美の起原展 入選作品展 詳細

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