2022 美の起原展 最終審査結果発表

10回目の節目となる2022美の起原展は応募人数307名、応募総数394点と過去最高の申込数となりました。

年を追うごとにプロとして発表している作家が増えていますが、19〜86歳という幅広い世代と、過去の受賞作を鑑みた多様な平面表現の作品が特徴となっています。

受賞作についても独創性のある表現と今後への可能性を期待できる作品が選ばれました。

大賞


月乃カエル HANAKAGO

審査員講評

過去の美の起原展での受賞は、その受賞作以上の完成度を求められることに繋がりますが、《HANAKAGO》は、作家の特徴である装飾性をあえて削ぎ落としたことでコンセプトが明確に表され、満場一致での決定となりました。

準大賞


いのうえあい 睡る

審査員講評

円形パネルに安らかな表情の子供を配し、それは母のお腹にいる様を想像させました。
背景のシロツメクサや子供の洋服のレースなどが胡粉の盛り上げによって見事に表現されていたと思います。一瞬の美しさと儚さが伝わってきます。

特別賞


宮内裕賀 アオリイカの解剖

審査員講評

他の応募作品に比べて小さいながらも気になって見てしまう。
それは作家のイカへの愛が伝わるからでしょう。見れば見るほど美しく、またコンセプト文にも深い愛情がにじみ出ていました。

奨励賞


こだんみほ 静観荘

審査員講評

タイルが好きで好きでたまらない。
こだんさんの絵から、湯を沸かすほどの熱いタイル愛が伝わってきました。とはいえ、実際のタイルを用いるのではなく、タイルを模写して、それを樹脂でコーティングして、とオリジナルの技法にこだわるところに、単なるタイルマニアではなく、アーティストとしての矜持が見て取れます。
今は無き歴史的建造物「静観荘」を取材した今作は、タイル絵作家ならではのアプローチで描かれており、タイル絵でしか作れない世界観を確立させており、タイル絵作家というパーソナリティの必然性を実感させられました。日本にタイル絵作家がいて良かった。そんな存在になることを願って。


友寄万梨奈 crack

審査員講評

アンフォルメル(非定型)の画家・ヴォルスの作品を思い浮かべました。
アンフォルメルはあらゆる絵画的伝統を否定し、現実にない形態によって空間構成を試みたものです。
彼女の作品には生命を司る細胞や内臓のメカニズム、あるいは脳内を張り巡らすシナプスの有機的な形を彷彿とさせます。
作品は五感のうちの「触覚」を表現したとありましたが、外部からの刺激を認識する触覚も生命が数億年かけて作り上げた細胞のメカニズムです。
肌色のスウェード生地に刺繍を施すことにより、伸びや縮みが微細な起伏を生み、それが人間の鋭敏な皮膚を思わせるリアルな生命感として表されています。


成田淑恵 夢みる夢

審査員講評

古今東西、動物をモチーフにした美術作品は多々ありますが、「動物の夢」をモチーフにした作品を制作しているのはおそらく成田さんくらいなものでしょう。
実際に動物たちがどんな夢を見ているのか。その正解を知ることは不可能なのですが、きっとこういう感じなんだろう、という不思議な説得力がありました。
また、さまざまな要素が混在しているのに、まったく違和感なく調和しているのも彼女の作品の魅力。
あまりに違和感なさ過ぎて、素通りしそうになりましたが、足を止めて隅々まで眺めていたら、いろんな出逢いがありました。
1枚の絵ながら、絵本を一冊読んだような充足感を覚えました。


U-ku 無常

審査員講評

入選した作品の中で最も強い印象を与えてくれた作品であり、色彩の美しさにも目を魅かれました。
大和絵の技法であるすやり霞をパターン化して画面全体に配置し、眼を凝らせばその背景に箔や青、茶、オレンジの顔料によって不定形で流動的な空間が描かれています。
縦軸に流れる背景、横軸には直線的なすやり霞が対立的に配置された構成です。それらはお互いの美しさを引き立てながら溶け合い、自然な空の広がりと奥行き感じさせます。
また、古典的なモチーフや箔を使うことで琳派を思わせるような絵画としての装飾性を増しているのも評価できる点です。

審査員賞

大杉賞

Kasumi Katagiri Heartwarming No.18

審査員講評

高温で焼かれ硬質となった土の造形でありながら極限まで薄く形作られた襞と透明感のある釉薬の色により柔らかな花びらの表情を美しく表しています。
それは作家が歳月を費やして培った技術と感性の賜物でしょう。
平面に描かれる絵画はイメージの世界ですが、それがレリーフとなったときイメージの世界は現実の空間にリアルな存在感を放ちます。
本作はその逆で、陶磁器という立体造形を壁面に移し替えることで見せ方の可能性を広げていると思います。
陶磁の器がもつ美しさは勿論のことですが、今後もこうした挑戦的な取り組みも膨らませてください。
(大杉浩司)

とに~賞

千葉貴明 Delila

審査員講評

審査会場でずーっとこの絵の少女の視線を感じていました。
「なぜ、私を選ばない?」最終的に、その圧に屈しました。
千葉さんが目指すのは『現代のバロック絵画』とのこと。
しかし、スマホやAppleWatchなど現代的なアイテムが安易に描かれているわけではありません。
現代の人間がバロック絵画を描いているというよりも、現代に転生したバロックの画家が絵画を描いている。
そんな奇妙な印象を受けましたが、『現代のバロック絵画』ってそういうことではないですよね?
まったく想像が付かないからこそ気になりました。『現代のバロック絵画』の行く末を見届けたいと思います。
(とに〜)

賞金1万円・美の起原での受賞者二人展開催

ダーウィン賞


Ayako Sekiguchi 月の明るい夜に
ダーウィングループ従業員からの人気投票1位
QUOカード5,000円分をプレゼント

クサカベ賞

前期/後期各一名


門田奈々 千早振

久保俊太郎 オキシトケン
株式会社クサカベ様より「AQYLA(アキーラ)」プレゼント

応募数

394作品・307名の応募・入選30作品(30名)

2022年 美の起原展 一次審査入選作品リスト はこちら

2022美の起原展 入選作品展

下記の日程で入選作品を展示します。

前期:2022年11月25日(金)〜12月6日(火) 日曜休廊
後期:2022年12月9日(金)〜12月20日(火) 日曜休廊
時間:12:00~18:30[各最終日16:00]

2022美の起原展 入選作品展 詳細

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