オードリーのアート日記:赤綿個展-ここではないどこか―

赤綿個展-ここではないどこか― 展示風景

童話のような幻想世界を表現するアーティスト、赤綿さんの個展が、現在、美の起原で開催されています。赤綿さんが本展のために寄せたステートメントは、ギャラリーを訪れる前のワクワク感をより一層高めてくれます。

祭壇のように展示された作品群。中央にあるのは《ノスタルジア》

人でも動物でもない幻想動物たちが、
夜の終わらない森で暮らしている。

そこは、
一度足を踏み入れれば、
出口のことを忘れてしまう迷いの森。
時間は止まり、朝は訪れず、
それでも不安より先に、あまねく楽しさが手を引いてくる。

怪しく、あやしく、そして美しい。
この森には、

ただ一つの出口と、
その扉を持つ者がいるという。

帰れる可能性は、確かにある。
けれどそれを選ぶかどうかは、
森ではなく、あなた自身に委ねられている。

ここではないどこかへ、ようこそ。

ショーウインドウに面する壁に展示された大作。左から《夢の育て方》《ナイトメアカタルシス》《夢へのつながりを願って》。

ギャラリーに一歩足を踏み入れると、そこはまさに赤綿ワールド。入口では、大きくて迫力のある、幻想動物たちが出迎えてくれます。そして壁一面に展示された作品には、この幻想世界のさまざまな断片が描き出されています。

「あのコ」の姿が描かれた《ノスタルジア》(部分)。光っている表面の素材を確かめようとすると、キャプションの一角に「魔法」の文字が

DMに掲載された《あの場所に帰る秘密の扉》。DMと実際の絵を見比べると違いが見えてくる

作品中にしばしば登場する、オレンジ色の服を着た勾玉のような頭を持つ「あのコ」は、この森の番人のような存在です。黒い目の部分に目玉がないコがこの森へと誘い、目玉のあるコが出口へと導きます。DMにも掲載されている《あの場所に帰る秘密の扉》には、その目玉のない「あのコ」が頭上にいるフクロウの姿が描かれています。フクロウのマントを開いている羽根の生えた動物に見覚えがあると思ったら、1月のマトリョーシカ展に登場していた「ジャクソン」でした。その展覧会で生まれて、今回の個展でもいくつかの作品で姿を見ることができます!

立体作品の「ジャクソン」(非売)は、ギャラリーの奥で存在感たっぷり

また、会場奥には、「ジャクソン」の立体作品も鎮座しています。この展覧会の守り神のように愛らしさで、なんと抱っこも可能。そのフワフワな質感に触れるとたちまち癒されます。

《夢と希望の魔法の卵》

私が今回の個展で最も惹きつけられたのは、《夢と希望の魔法の卵》という作品です。八咫烏をモチーフに描かれたその姿は、羽根のような手と、卵から孵った猫を持つ手の、計4本の手を持っています。果たして果たして3本あるのでしょうか……。ダークな世界観の赤綿さんの作品群にあって、摩訶不思議な姿ながらもどこか明るさを感じさせる一点です。

赤綿さんの描く森は、あの世でもこの世でもない境界線上の世界。少しダークで、だけど愛おしい異形の動物たちが住む世界に留まるかどうかは、鑑賞者に委ねられています。展覧会は3月10日まで。一度覗いてみると、その魅力の虜になること間違いなしです。

赤綿個展-ここではないどこか―

2026年3月3日(火)〜3月10日(火) 日曜休廊
12:00〜18:30(最終日16:00)                           
美の起原
WEB展示

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