昔、自宅のお風呂の床は、小石のような丸いタイルが敷き詰められ
「タイル絵を制作するようになったのは、公募展での注目度や反響を狙った不純な動機なんです」というこだんさん。しかし、作品についての話を伺うと、並々ならぬ「タイル愛」が伝わってきます。きっかけはさておき、そこからのめり込んで探究し続けたからこそ、多くの人を魅了する表現に辿り着いたのでしょう。


こだんさんは実在する建物などのタイルを取材し、それを元に制作を行います。一種類のタイルをモチーフにすることもあれば、数種類を再構成したり、建物全体を題材にすることも。会場にはモチーフとなった実際のタイルの写真も並び、こだんさんによってタイル絵に昇華された作品と見比べることができます。例えば、約10cm角ほどの《天水湯》には、大阪の銭湯「天水湯」の玄関に貼られたフランスの陶芸家ロジェ・キャプロンのタイルデザインがぎゅっと詰まっていて、ロジェの造形に対するリスペクトが感じられます。

「作品は額から発想するところも多いです」という言葉通り、個性的な額装も大きな見所です。《バルブ(都湯)》は、都湯という銭湯の配管のバルブをイメージして描かれたタイル絵。配管に見立てた額には銭湯にあった本物のバルブが組み込まれ、額そのものが作品の一部となっています。
また、《育む》には、骨董市で見つけた衝立仕立ての竹貼り額が使用されています。「竹のタイルの作品にピッタリ!」と直感して購入したそうです。この作品は、大阪府守口市「日の本湯」の竹タイル、大阪市「テルメ龍宮」の鯉タイル、そして多治見市モザイクタイルミュージアム 所蔵の蓮のタイルがモチーフとなって組み合わせ、竹の囲い越しに優雅に泳ぐ鯉の姿を表現しています。まさに額との出会いから生まれた一枚と言えるでしょう。

こだんさんと話していると、タイルを介した人々との出会いが創作の要素のひとつになっていることに気づかされます。歴史ある建物に残されたこだんさんの描くタイル絵は、その建物を守る人々、それを愛する人々、そしてこだんさん自身を繋ぎます。《洋風銭湯マジョリカ》には、そんな銭湯の姿が一枚の絵に凝縮されています。
銭湯好き、タイル好きにはたまらないこの展覧会は明日16時まで。本日は休廊日なのでご注意ください。写真では伝わりきれないタイル絵の質感や立体感を、ぜひ会場でお確かめください。
こだんみほ個展「タイルのようでタイルじゃない」
2026年2月3日(火)〜9日(月) 日曜休廊
12:00〜18:30(最終日16:00)
美の起原
WEB展示

