オードリーのアート日記:加藤泉 何者かへの道

写真提供:島根県立石見美術館 撮影:佐藤祐介 ©︎2025 Izumi Kato

今年の夏はどこに出かけよう?

そこで思いついたのが、この夏、島根県立石見美術館で開催されている加藤泉さんの展覧会。

以前から気になっていた美術館なのにこれまでタイミングが合わず、ここしかない! と行ってきました。

羽田から飛行機で約1時間半、萩・石見空港からバスで30分ほど移動すると、島根県芸術センター「グラントワ」に到着します。

この「島根県立石見美術館」と「島根県立いわみ芸術劇場」の入る内藤廣の設計による芸術文化複合施設は、

美しい石州瓦に覆われ、壁がキラキラと輝いていました。この素敵な会場で国内では過去最大規模の個展、

しかも島根県安来市出身の加藤さんの地元での展示の機会となれば、期待に胸が膨らみます。

まず受付を通り抜けると、展示室前の広い空間に木彫の大作が鎮座しています。

ここには1点の木彫と小さな版画としかないのに加藤さんの世界があって、グッと入り込んでしまいました。

そこから進んだ天井高のある展示室には、個性的な空間に合わせた大型作品を中心とした

ダイナミックなインスタレーションが展開され、空間全体が力強いエネルギーを放っています。

写真提供:島根県立石見美術館 撮影:佐藤祐介 ©︎2025 Izumi Kato

一番大きな展示室では、時系列に作品を展示し約30年の加藤さんのアーティストとしての歩みを辿ることができます。

初公開となる高校時代の作品や、バスキアなどの影響を受けた最初期の絵画は、加藤さんの作品のモチーフである

“人がた”になるまでの前段階を知ることができて、こんな時代もあったのかと興味深く見ました。

とはいえ、“人がた”は比較的早い段階からあらわれ、今のスタイルへと変化していきます。

写真提供:島根県立石見美術館 撮影:佐藤祐介 ©︎2025 Izumi Kato

作品を順に追っていくと、2008年にVOCA2028と同時期に開催された加藤泉「The Riverhead」(上野の森美術館ギャラリー)で

小さな木彫作品を見たことを思い出しました。それが制作された2003〜05年は絵画のスランプ時期だったそうですが、

絵画と彫刻の両方を手がけたことによって、今の作風に変化していったのだと納得しました。

絵画の“人がた”が立体的に変化し、その後の絵画は面の筆致が描き分けられるようになり、

そこからの勢いは、ベネチア・ビエンナーレに出品された連作以降の作品に繋がります。

写真提供:島根県立石見美術館 撮影:佐藤祐介 ©︎2025 Izumi Kato

さらに加藤さんは木彫と絵画だけでなく、ソフトビニールや石、金属と、さまざまな素材を制作に取り入れていきます。

中でもコロナ禍に制作されたプラモデルを取り入れた作品は、遊びがあって楽しんでいる様子が伺えました。

写真提供:島根県立石見美術館 撮影:佐藤祐介 ©︎2025 Izumi Kato

今回の展示を見て、島根出身であることが腑に落ちました。加藤さんの“人がた”はまるで神の使いのようだから。

神々の国である島根の地で育ち、そこから世界へと羽ばたいた加藤さん。その作品の魅力を存分に楽しめました。

皆さんにもぜひ見てほしいので、夏の旅行はぜひ島根へ!!

開館20周年記念企画展
加藤泉 何者かへの道 

IZUMI KATO: ROAD TO SOMEBODY

2025年07月05日()~2025年09月01日()
休館日:毎週火曜日(8月12日は開館)
9:30~18:00(展示室への入場は17:30まで)
                             
島根県立石見美術館
https://www.grandtoit.jp/museum/exhibition/izumi_kato_road_to_somebody_iwami/

 

 

 

 

 

 

 

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