オードリーのアート日記:Kohei Arano Solo Exhibition「rise at dawn」

 

新埜康平さんの作品展示の様子

皆さん、日本画というと、どんな絵を想像しますか?

美術館にある日本画は、動植物や自然などが描かれていることが多いのではないでしょうか。

現在、美の起原で開催されている新埜康平 (あらのこうへい)さんの作品も、この日本画で描かれています

でも、ストリートカルチャーや映画の影響を受け、日々の生活に根差した等身大の現代的なイメージを

モチーフにしている新埜さんの絵は、いわゆる日本画に見えないかもしれません。

タギングが全面に描かれた作品(左)や、ポピュラーなブランドのドリンクの瓶や缶がモチーフになった作品(右)を組み合わせたインスタレーション

学生時代から日本画の素材研究をし、それを用いて現代的なカルチャーをモチーフとしている新埜さん。

よく見ると日本画特有の余白があり、それと街のグラフィティに見られるタギング(文字)の組み合わせは、

まさしく日本画の伝統と現代のカルチャーがミックスしています。

《be kind rewind #13》

また、映画のワンシーンのようにエモーショナルに描く新埜さんは、90年代の映画に影響を受けていると言います。

たとえば《be kind rewind #13》ではスケートボードで飛び上がる瞬間を、VHSテープを巻き戻している時に

見られるコマ送り特有の複数の人物を描くことで表現しています。さらにテープの揺らぎを、顔料を荒々しく

画面に置く芸の細かさ。そんな今の体験を手法に取り入れる一方で、日本画への情熱も随所に見られます。

斜めから見てみるとわかる厚みのある手製の支持体は、屏風のように立体的に見せたいという思いが込められています。

支持体の内側に枠線があるのも新埜さんの作品の特徴

モチーフの背景の銀箔は経年変化によって表情が変わります。そうした日本画ならではの良さを引き出すために

用いられています。時間はかかるけれど、時間も含めて日本画そのものの魅力となります。

目の前の画面を見ることさえも描く時間に捉える、それは慌ただしい現代人に必要な感覚かもしれません。

現代的な感覚で表現された新埜さんの絵は、初めて日本画を見る人にも親しみやすいと思います。

でもそれだけでなく、じっくりと向き合うことで日本画の美しさを教えてくれます。

開催中の新埜さんの個展は水曜まで。ぜひ、ギャラリーで見て、確かめてください!

Kohei Arano Solo Exhibition「rise at dawn」

2025年6月4日(水)~6月11日(水)日曜休廊
12:00〜18:30(最終日16:00)                           
美の起原
WEB展示

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